Abox People Vol.4 「商品撮影講座 第1期受講生 小林直剛さん スペシャルインタビュー」

interview Vo1.4

商品撮影講座 第1期受講生 小林直剛さん インタビュー

今回のインタビューは商品撮影講座第1期生の小林直剛さんです。全24講座(1年間)のうち16回目の講座を終えたところでお話しを伺いました。
聞き手:Abox Photo Academy 事務局 成田洋紀

【Abox Photo Academyとの出会い】

成田:じゃ、まず、Aboxにいらした経緯をお話しいただけますか? どこでAboxの講座をお知りになったのか。どうして習いたいと思ったのか。

小林:まず商品写真を撮るきっかけですが、僕が会社を辞めて妻のジュエリーのお店を2人でやっていこうと1年半前くらいに決めまして、それでまずオンラインショップを中心に始めたのですが、これは結構写真が肝だなと気付いたんですね。まあ、それまでは我流でやってたんですけど、ちゃんとやらなきゃということで、どこか教えてもらえるところないかな?ということでスクールを探し始めたんです。
そして別のスクールの説明会を聞きに行った時にそちらで佐藤功さんをご紹介頂いたんです。

成田:うちのファッションポートレート講師の佐藤ですね。

小林:はい。で、佐藤さんに会いに行ったら、佐藤さんもポートレート中心に活動してるんだけど、「ちょうどこれから広告商品写真のプロフェッショナルと写真講座を開くんだよ。」っていうお話を伺いまして、それがAbox Photo Academyだったんです。

成田:なるほど。ジュエリーデザイナーの奥様がいらして、Aboxに通われる前から小林さんが奥様がデザインなさった商品を撮影なさってたということですがライティングはどうなさってたんですか?

小林:自宅のベランダで自然光で撮ってました。ストロボも持ってなかったので。

成田:で、いま商品撮影講座の第3クールが間もなく終わろうとして、残す第4クールを終えれば修了になるわけですが、これまで受講なさってきた感想はいかがですか。

小林:今もショップのためにジュエリーの撮影を結構やってるんですが、教えていただいたことをすぐに次の日から取り入れてます。まあ、機材を揃えるのはどうしても時間がかかっちゃうし、教わったことと同じことをやるっていうのは難しいんですが、例えば「部屋の中に撮影の台を置く」っていう最初に行う行為が、いろいろ先を考えた上で、ここにこの高さで設置するんだっていうことを教わると、いままで適当に、曖昧にやっていたことがちゃんと自分で理由をつけて考えられるようになりました。大きな収穫の一つですね。

成田:成果は出ているっていうことですか。

小林:そうですね。少人数で教えていただいているっていうこともあって質疑応答の時間にその日の授業内容以外のことでもアドバイスいただいてますし、それを持って帰って試して実践に活かしてますね。自分の仕事に直結したことも沢山教えていただけているっていう満足はあります。

成田:まあ、今は開校したばかりで生徒が少ないということもありますしね。(笑)

小林:はい、そうでしたね。(笑)

成田:僕の印象だと、一般的にスクールに通われている方たちって受講することで満足しちゃっている人って多いと思うんですよ。

小林:ええ、そうですね。

成田:でも、やっぱり商品撮影って実際にやってみないと身につかないんですよ。で、その上で「考える」っていうことを重要視しているんですよ。だから僕も講座の中で同席させてもらっている時に「考えて、考えて」ってアドバイスしちゃうんですけど、「考えて」いないと理由付けができなくて、撮影の現場で何かが起きた時に対処できないんですよね。

小林:はい。

成田:おそらく小林さんは受講後、ご自宅に戻られてすぐに実践されているので上達も早いと思うんです。そしてよく「考えて」講師の高崎が出した課題、質問にも良い答えを出してこられるので、もう今後が楽しみだと思うんですけど。もっとこんなことも学びたい!とかありますか?

小林:そうですね。教われば教わるほど、自分の出来なさがわかってくるんですね。元々できるとも思っていなかったけど、更にこの世界は奥が深いんだな、って面白くなってきたので。まあ、仕事としては今はジュエリーだけを撮ってますけどこういうのって実際にどうやって撮るんだろう?っていうのはもっと見てみたい気がしますね。

成田:例えば?

小林:ジュエリーに限った話ではないですけど、例えば人が商品を身に着けている状態の商品写真を撮るといったアパレルによくあるような。人の肌が入った時どうするのか。どういうライティングで撮れば良く見せられるのかな?というように、講座で教えていただいたことから派生させて色々知りたいことは増えているなと思いますね。

成田:実は、他の方からもそういった要望があるんですよ。身につけたアクセサリーや時計を撮りたいとか。それは今後ワークショップでやっていこうと計画していますから、よかったらご参加ください。

小林:そうなんですね。楽しみですね。

成田:小林さんは最初の頃はライティングのことは全くお解りになってなかったようですし、その頃にお仕事で撮られた写真を拝見した時、訳が判らず撮っていらしゃるというのが伝わってきたんですが(笑)でも、今では大分慣れてきたんじゃないですか?

小林:そうですね。機材の取り扱い一つとってもちゃんと教えていただいてますし、自宅にも少しずつですが機材を増やしているので触れる時間が多くなってきたのでようやく慣れてきたっていう気がしています。最初の頃はサッパリわからなかったんですが。

成田:最初、おどおどしてましたよね。(笑)

小林:受講生にプロの方もいらっしゃったんで、ついていけるかな…、ヤバイなって思ってましたから。(笑)

成田:でも、商品や機材の扱いはかなり手際が良くなっていらっしゃいますよ。

小林:そうですか、ありがとうございます。

成田:あと、講師の高崎からも毎回「なんでだと思う?」っていう質問を問われてるんだけど、その答えや「これやってみて」って言われた事への対応が小林さんは鋭くなってきてますよ。それって「考えて」作業しているっていうことの表れなんでしょうね。その習慣が身につかない人っていうのはアイデアも出ないし作業効率が上がらないんですよ。なんとなく撮れちゃった…では結果として上達しないんですよね。

小林:毎回、鍛えられてますからねえ。(笑)

成田:よく高崎とも話をするんですけど、2回目の授業だったかな、最初の実演講座となる「白い商品を白い背景で撮る」という回、あの回に商品撮影のことがほとんど集約されているんですよね。

小林:なるほど。

成田:それを形だけじゃなく、理論的にも体得してしまえば何にでも応用が効く。

小林:それは高崎さんも時々仰いますよね。

成田:例えば今日のテーマだった「俯瞰(真上から見下ろして)の撮影」についても、いつも基本としているセットの見方を変えてどのようにセッティングするのか?というだけで、考え方は同じなんですよね。

小林:はい、今日の授業の終わり頃には気付きました。

成田:でも、考える癖が身に付いていないと俯瞰という条件になった時点で、「もうわからない。ライティングもどうやるの?」ってお手上げになっちゃう人が多いんですよ。

小林:そもそも、今日の授業の最初に「俯瞰で撮らなきゃならない商品や条件ってどんなとき?」って話から始まりましたからね。

成田:商品のエッジを立てるにしても、俯瞰撮影で床に設置したものに対してどうすればいいのかなってわからなくなってしまう人が多いと思うんです。そういったことにも小林さんはちゃんと理解して受講してくださってるから成長が早いんでしょうね。もう商品撮影業界の期待の星です。(笑)

小林:ははは。ありがとうございます(笑)でも、やってみてすごく楽しいですよね。僕の場合、入り口が写真が楽しいから写真講座に入ってもっと上達したいっていう順序じゃなかったんで。楽しいよりもやらないといけないことをなんとかしなきゃならないっていう、でもやっていくうちに面白いなって思いました。

成田:そう、小林さんの場合、趣味でやっているわけじゃないし、先の予定も決まっていらっしゃるから。どうしても一所懸命やらなきゃっていうのがありますからね。

小林:そうですね。

【「商品が売れる写真を撮る」という目的】

成田:小林さんのようにプロカメラマンじゃないんだけど仕事として商品写真を撮る立場の方って今の時代多いと思うんです。本当はそういう方々がもっとたくさん受講してくだされば同じ目線、立場からの質問も沢山飛び交ってもっと盛り上がるんでしょうけどね。今は簡単になんとなく綺麗に撮れちゃう時代だから時間とお金かけてまで勉強したいっていう人が少ないのかもしれない。

小林:そうなんですかねぇ。

成田:そこまでして時間とお金を使って元が取れるのかと。そして、商品撮影って細かい機材や素材が必要になってくるじゃないですか。

小林:その通りですね。

成田:今日の場合だったら、ガラス板もそうだし、

小林:ちゃんと撮影したいと思うと設備投資は本当に大変です。でもやっぱり潜在的な需要って多いと思うんですよ。僕みたいな状況、環境にある人がどんどん増えていってるとは思うんですよね。

成田:確かにそうかもしれないですね。

小林:プロに撮影をお任せするようなお金はないけれども、自分が立ち上げたショップで商品をアップしていきたいって思った時に、どこかの段階でぶつかる壁としての商品写真というのはあるなと思っていて。例えば色々なショッピングサイトでも正直あまり良くない写真を使って商品紹介やってらっしゃるけど、まあ、それで商品を買う人もいるんでしょうけれど、もっと写真が綺麗で伝わる方がいいに決まってますよね。
前職の関係もあるんですが、ブランドを育てるっていう僕の目線があるので、そうすると写真表現がブランドを作る時に大きい要素になるっていうのがありますね。

成田:そう、もともと小林さんはブランディングの仕事をなさっておられたので、その辺りの必要性は判っていらっしゃるんだけど、WEBがこれだけ世の中に広まって誰もが日常的に見るようになってやっぱり写真のインパクトって相当あると思うんですよ。

小林:本当に大きいですよね。

成田:そこに皆さん、気づいていないのか、気づいていてもそのままなのか…。でもブランディングするにあたって写真は結構上位な要素だと思うんですよ。見る側からしたらパッと見たときの写真の印象が商品情報の全てじゃないですか。説明文よりも写真がまず先に目に飛び込んでくる。だからもっと綺麗に撮りたいとか、伝わるように撮りたいとかっていう欲が出てきても良いんじゃないかって思いますね。でも、なかなか難しいのかな…。

小林:写真機材でよくある、白い布を張った箱の中で撮りゃ良いんだろうって…。

成田:そうそう、最近巷でよく販売しているやつですね。あれが決して悪いとは言いません。実際それで撮り方を教えているところもあるようですし。ただちょっとね…。

小林:(笑)

成田:今春から始まった2期生の中にも自社ブランドの商品をネット環境で販売するための写真をもっと上手に撮りたい!っておっしゃって通われている方がいるんですよ。

小林:へえ。そうなんですか。

成田:そう、小林さんと一緒ですよね。商品販売のための写真上達が目的で、やっぱり他の写真講座の受講生とは目つきが違う。(笑)

小林:まあ、目標がありますからねえ。

成田:そうそう、商品が売れる写真を撮るっていう目的、ゴールが決まってるから真剣ですよね。

小林:この講座もっと需要は増えると思いますけどね。僕らみたいな方達きっと多いですよ。

成田:本当にみんな、どうやって自社の製品を撮ってるのかなって思います。うちのスクールに来れば目からウロコ的なことばかりだと思うのですが。(笑)

小林:そうそう、これはワークショップでやって欲しい!って思ってたんですけど、世の中の広告写真であれをどうやって撮ったのかということを再現してみてもらったり、検証したりする、そういうワークショップがあったら受けたいなというのはありますね。

成田:あ、それはちょうどこれから告知するところなんですが、Aboxのポスターなどに使われているイメージビジュアルがあるんですけどそれを撮影した塾長の高崎がまた再現するというワークショップを8月末に企画しています。

小林:それは面白そうですね。

成田:小林さんが受講なさっている商品撮影講座でも第4クールの中で「イメージカットの考察」というのをやりますが、そこでは確かイメージカットのセッティングを動画で解説するという回がありますよ。

小林:あ、ではもうすぐ見られるんですね。それはすごく面白いかもしれない。

成田:何か最近気になっている広告写真とかありますか?

小林:いえ、今具体的にということでは無いんですが、高崎さんからは「この商品撮影講座を受けたら、とにかく街中のあらゆる広告写真が気になるようになるよ。」って言われて、確かにここから帰る電車の中の広告見ても撮り方とかに意識が行くようになりましたね。

成田:最近は時代の流れで仕方ないのですが合成ものも多いですけどね。(笑)

小林:そうですね。多分1年間通って学んでもきっと僕ら一般人には全然わからないでしょうね。でも、ここまでは撮影でここから先はレタッチ処理や合成で、そしてそれは何故そうするのかということにも興味あります。

成田:学んでいくと分かると思いますよ。撮るようになったらこの写真ハイライトの入り方が物理的におかしいなとか気付くと思いますから。

小林:なるほど~。わかるようになるんですね。

成田:でも、それが気になるようになったということ自体、今までなかったことですよね。

小林:全く考えもしなかったですよね。

成田:僕も商品写真を撮るようになるまでは世の中の広告写真はあまり気にしたこと無かったわけですが今では「これ、格好いいなあ。どうやって撮ったんだろう。」というものもあれば、「これは正直ちょとどうなんだろう…」っていうお世辞にもあまり良くない写真も存在していることに気づくんです。

小林:はい、それはありますね。

成田:気になって見ることから始まってジャッジができるようになるっていうのも成長していく過程ではありますよね。

小林:いま、基本的にライトを3灯を使って撮影することを講座で教わってますけど高崎さん普段の仕事の現場ではもっとたくさん7灯も8灯も使うって聞きました。3灯までの世界観は認識できるんですけどそこからライトを増やしていくのはどんな風に何のために足していくのか?っていう世界をもっと知りたくなりましたね。

成田:向上心ありますね。

小林:4灯目を足す、なぜその1灯に意味があるのか。。もちろん全てに意味があるはずなんですよね。

成田:もちろんあります。見積もりに計上しやすいとか。(笑)冗談ですけど。(笑)

小林:(笑)いっぱい使うとその分を請求できると…。あながち冗談でもなさそうですよね。

成田:ノーコメントで!(笑)

小林:でも、写真は明らかに変化するんでしょうし階調が豊かになるってことなんだろうなってことは想像つくんですけど。

成田:真面目な話、光を足せば足すほど明るくなって光の質は眠くなっていくと思われがちですがそれって多分光を読めない人がライティングするからでちゃんと意識して「この箇所にもう1トーン調整したいな」って考えて意味を分かってライトを足すと表現の幅が広がるんですよね。僕も最近3灯だけではここまでが表現の限界だなって感じることが出てくるようになりましたね。先日の撮影も結構な灯数を使いました。

小林:そうですか。僕も早くその域に達したいです。

成田:ここにもうひとつハイライトを入れたいな、とか思うようになりますよ。「商品写真を撮るためには最低何灯ライトが必要ですか?」という質問が多いことに対して高崎が理論的に考えた結果、「3灯あればだいたいのものは撮ることができる」と解説しているわけで。彼のアトリエに行ったら10数灯も常備してありますからね。

小林:そういうことが、もっと知りたくなりましたね。

成田:でもそれはいい傾向ですね。

小林:そうですね。

成田:おそらく、高崎が教えたままの3灯だけの世界で満足しちゃっている方もいるでしょうし、まずその3灯をちゃんと使いこなせてない人もいるかもしれない…。

小林:わかってなくてライティングしている人、きっといると思いますよ。

成田:まあ、ここではネタバレになっちゃうのであまり授業の内容に触れることはできませんけど小林さんは講師の高崎の理論を判ってきていると思いますよ。3灯使う意味とか。各1灯ごとちゃんと役割があるじゃないですか。そこが撮影にあたりとっても大事なことなんです。

小林:そうですか。

成田:正直、近年はちょっと首をかしげてしまう広告写真が多くなった気がしますがその写真が世の中に露出しちゃうとそれが正義になっちゃうんですよ。そこでいくら僕らがそれよりもいい写真を撮ったとしても世の中に出ない以上それは何の意味も持たないのでチャンスが来た時にちゃんと対応していい写真が撮れるように準備しておくってことが大事なんですよね。

小林:そうですね。

【これからのこと】

成田:小林さんは、これからどうなっていきたいんですか?

小林:まあ、仕事としては妻とのジュエリーショップの仕事のことはいろいろ構想はありますけどまず写真のことに限って言えば…、
教えていただいているからこそ感じるのは基礎とその意味は判りましたと。ではその先の写真家それぞれの個の出し方、例えばハイライトの質。その作り方は高崎さんは高崎さんの、成田さんなら成田さんのこだわりで進めていきますよね?そこで僕だったらこうして作っていくよっていうのがまだないんですけど、それはこれから持った方がいいんだろうなって思います。ある程度の技術的な土台の上に、これがウチのジュエリーっぽいよねって見てる方に言わせられるような光を自分の中で持っていきたいですね。

成田:となると、小林さんは2種類なのかな。自分の個性である光と、ジュエリーブランドとしての個性の光。

小林:はい、その通りですね。またその両者の関連性というか、かけ離れすぎてもなかなか難しいものがありますし、うまく繋げていくっていうことも含めてやっていけるといいかなって思います。

成田:なるほど。考えてますね。

小林:あと、せっかくこうして写真を学んできているわけですからジュエリーを買うっていう体験に写真をうまく組み合わせていけないかとか、いろいろ想像を広げているところですね。

成田:今、人がお金を使う対象がモノから気持ちに移ってきているところですからそれはいいアイデアかもしれませんね。

小林:まだ構想中ですが写真やジュエリー以外のこともひっくるめて何か新しいことやりたいなって思っています。

成田:もう少し。ジュエリーブランドと小林さんの関わり方についてのお話を伺わせてください。

小林:妻が作っているのはモノとしてのジュエリーなんですけど、僕が入ることによってジュエリーの世界観をお客様に体験してもらうための形をどうやって作るか?業界の言葉で言うと「ブランドを創る」ことになるんですけど、そこを僕が入って一緒にやっていくということですね。

成田:奥様と一緒にショップをやるということで会社をお辞めになっているわけじゃないですか。よほどの決心というか覚悟があったと思うんですよ。前職は役職という立場でしたし、それなりに安定したお金だってもらってたでしょうし、でもそこまでしてやりたいことだったんですよね。

小林:そうですね。今まではクライアントがいて、そのお手伝いをするっていうスタンスのお仕事だったんですけど、自分で自分のブランドをいつかはやりたいなって思ってたんですね。その思いと妻のブランドが重なって、やってみようかなって。

成田:奥様の反応は?

小林:まあ、妻が自分のブランドとしてジュエリーを作り始める時にこんな感じで作ろうかっていうのは一緒に考えていたし、ショップ立ち上げの時も関わっていたのでずっと一緒にやってきたっていう感覚はあったんです。だから、こんなものを作りたいっていう時に感覚の不一致があまりないんです。だから会社辞めて一緒にやること自体あまり混乱はなかったようですね。

成田:で、神戸にお帰りになるんですよね?

小林:はい、来年の6月くらいに帰って住居兼ショップを構える予定です。今、設計の段階なんですが撮影スペースも作る計画です。

成田:じゃあ、それまでに撮影技術は磨いておかないとですね。

小林:そうなんですよ。それまでにいろいろ教えていただいて習得しないと。

成田:まあ、高崎が商品撮影のプロで更にジュエリー撮影に関してかなり特化してますから小林さんにとっては最高の講師なわけですよね。(笑)

小林:そうです。高崎さんご本人は「商品ならなんでも得意だ」って仰ってますけど、やはりジュエリーの撮影が多いらしいですし僕にはドンピシャな感じですよね。

成田:ジュエリーの撮影ってカメラマンの誰もが苦手意識を持ちやすいんですよ。高価だし、扱いが大変だし、そもそも自立しないからカメラを構えるまでの商品構成が大変なわけですし。その中で「それが得意だ」っていう講師に出会えてよかったですね!

小林:そうなんです。いい写真講師に巡り合えたからといってジュエリー撮影が得意とは限らないしジュエリー撮影が得意なカメラマンに出会えたからといって長年苦労して培われてきた技術を惜しみなく教えてくれるってこともないでしょうから。

成田:普通プロのカメラマンは自分のテクニックは教えないですよね。(笑)

小林:だから本当にありがたいなって思います。。

(ここで高崎塾長がインタビューに参加)
高崎:実は僕の弟子でジュエリーの撮影をやってるカメラマンは一人もいないんですよ。

小林:え?そうなんですか。

成田:意外ですよね。アシスタントとして傍でお手伝いしてて誰もがこれは自分にはムリだ…って思うらしいんですよ。

小林:あ~、まあ、他の撮影に比べたら大変なことばかりですからね。確かに…。

成田:僕は確か…高崎の撮影の現場に初めて立ち会わせていただいたのってジュエリーの撮影だったはずです。

小林:そうなんですか?

成田:確か、A社の雑誌広告でしたね。

高崎:そうだっけ。

成田:もうそれは想像を超えたとんでもないセットで…。もちろん見ただけでは全く意味がわからない。え~、何これ!っていう感じで。(笑)

小林:へえ~。見てみたいなあ。

成田:当時はそのインパクトがすごい記憶にあるんですよ。今だからこそ理解できているけど。

高崎:成田さんにはAboxの運営を助けてもらってるけど実際にはお互いの撮影の現場で一緒のことが多いからね。確かにもう僕のライティングに関しては意味がわかってるんだろうなって仕事してて感じるよ。

小林:その時はどんなセッティングだったんですか?

成田:講座では3灯しか使わないけど現場ではもっとたくさんライトが並んでて歯医者さんみたいな器具がワゴンにずらりと並んでてピンセットだけでも十数種類あって。

高崎:ジュエリーの撮影自体が歯医者さんの作業と似てるんだろうな。って思うことは多いよね。

成田:商品撮影のカメラマンって、本当にたくさんの細々した備品が必要になってきますよね。

小林:大変ですけど楽しいから、僕も真似してちょっとずつ増やしてます。

高崎:よく「〇〇専門のカメラマンですか?」って言われるんだけど、酒や飲料品の撮影の時はピンセットじゃなく何十種類ものスプーンを使うし、料理撮影の時はまた違う道具が並ぶわけ。いろんなジャンルについての準備は怠らないけど、何が得意ってことじゃなく商品撮影に特化してるだけなんだよね。だって、こんなに体が大きくて不器用なのにジュエリー撮影に向いてるわけ無いじゃない。(笑)

成田:最初は高崎のセッティングを真似しようとも思ったんだけど、形から入ったんじゃダメだなってすぐに思いました。

高崎:レンタルスタジオのオーナーってカメラマンの場合が多いんだけど、僕が撮影終わってセッティングを残して帰るでしょ。そしたらそのオーナーが僕のセットを真似して撮るんだけど同じように写らないって嘆いていたって後日スタジオマンから聞いたことがある。

小林:そんなことあるんですね。

成田:見よう見真似じゃ無理ですよね。基本ができていないと。

小林:でも、プロの方なら基礎は出来てるんじゃないですか。

成田:プロで活躍されていても様々なジャンルがありますからね。商品撮影はあまり撮影経験がないのに依頼を受けちゃって撮るっていうケースも多いですからね。

小林:そうですか。

成田:例えばポートレートって被写体が人間だからセットが大きいでしょ。それを小さい商品撮影に当てはめてもライトの位置が数センチ変わっただけで全く違う写真になるんだからそれは見た目だけでセッティング組んでも無理でしょう。だからAboxでは講座の時にノートをつけさせることを重要視してるんですよ。セッティングや機材を写メで撮るのはいいけど、撮ったものをそのままじゃダメで必ずプリントアウトしてノートに貼るようにって。

高崎:小林さんの場合は講座を受けてすぐにご自宅で実践なさっている。それが成長の要因でしょうね。

小林:そうですね。それは自分でも大きいと思います。

成田:それってわかっていても気力体力がいることだから難しいんですよね。でも小林さんは着実に上手くなっていくのがわかりますよ。

高崎:成田さんもそうだったもんね。自分の場所で繰り返し撮影の練習してたらしいし。だから受講生に対しても言葉に説得力がある。

成田:僕の場合はもともと畑違いの仕事をやっていたわけで、写真なんて趣味でもなんでもなかったからスタートが遅かったわけですよ。そりゃ、「やるしかない」って切羽詰まってましたから。常に相当考えて人一倍勉強したつもりです。じゃなければどんなに先生がよくっても身につかないですよ。

小林:だから、ここはノウハウを教えてくれるだけじゃなくって目標に導いてくださってる気がします。普通の学校じゃこういうことないでしょうから。

成田:だって一緒に仕事してて高崎でさえ「いまだに毎日発見がある」って言うんですよ。

高崎:毎日ありますね。

小林:今だにですか。。

成田:そんなの僕らだったら尚更のことなんだからだからなるべく早く正しい知識を詰め込んであとはどれだけ数をこなすか…なんでしょうね。

小林:はい、確かにその通りですね。教わっていて思うのは教わりにきてるっていう頭でいると習いに行った先に正解が待ち構えているんじゃないかと思い込んじゃうわけです。
講師が持っているやり方に倣って撮影すればまずは撮れるようになるんです。でもそこに完璧な答えっていうものが無い世界なんだからここの授業は一回頭の中をフラットにして一緒に考えてみようよ!っていう時間が多いじゃないですか。あの時間がすごく勉強になっていますね。

成田:課題を出した時、プロダクトカットにしてもイメージカットにしても小林さんの提出物は素晴らしかったですよね。

高崎:うん、みんな個性的だったけど小林さんの課題作品は確かに面白かった。講師の僕がクライアントだとしたら正解からは程遠いからOKは出せないかもしれないけど機材や設備がない中でしっかり考えて撮ってきているから面白いクリエィテブに仕上がってきてるんだよね。

小林:ありがとうございます。確かに初回の課題の時は照明がなかったから自然光メインで撮りましたからね。

成田:やっぱり考えて自分の答えを出す姿勢が写真に出るんですね。

【ノートのこと】

成田:さっき話に出たけど、ノートをとってもらってるでしょう。どうですか。面倒臭い?(笑)

小林:超~、面倒くさいっす。(笑)

成田:(笑)でも考えるでしょ。

小林:そうそう、だから見返すのがいいです。ノートを取ることが頭の整理になってて。成田さんから「意味がわからなくてもとりあえず書いといて。」ってアドバイスいただいて、しばらくして撮影も経験が増えてきてそれからノートを見返した時にあの時講師が言ってたのはこういうことだったんだ!って気づくんです。今になって最初の頃のことが改めて理解が深まってくるんです。

成田:そうそう、そうでしょ。それがノートの素晴らしさなんですよ。

小林:すぐにその時教わったことに戻れるじゃないですか。

成田:だから、Aboxではノートを徹底してつけさせるんですよ。スマホでパシャパシャ撮って記録しておくだけじゃダメだよ。っていう意味は全てがそこに行き着くんです。

小林:そのノートを見返す時間がとても勉強になりますよ。楽しいというかわかってくるのが面白くなってきますね。

成田:僕もノートつけてたし…今もつけてますけどもう3冊くらいになったかなあ。商品講座講師の高崎、アートフォト講座の松龍も真面目にノートを取ってきてるわけなんですよ。Aboxを立ち上げる時にたまたまノートの話になって絶対に生徒にはつけさせようって話になったんです。

小林:本当に面倒くさいんですけどね。絶対今後のためになりますよ。

成田:ノートがないと今はみんなスマホに記録するだけなんですよ。でもそれを後で見返した時に「この画像なんだったっけ。」って絶対になるんです。もう記録したことで満足しちゃって。

小林:はい、確かにそうですね。

成田:そしてスマホに記録したままセットを組んだところで思うように撮れない。

小林:授業中はノートをとる時間をちゃんととってくださるんですけど、やっぱりそれは走り書きのメモで帰ってからもう一度清書するんです。それがまた反復になって。しんどいですけど役立ってますね。

成田:お、ちゃんとスマホで撮った写真もちゃんとノートに貼ってるんだ。言われた通りにやったノートを見ると改めて濃い内容だと思うね。僕もその場じゃ綺麗に書けないから清書するんだけど確かにまたその時間が勉強になるんですよね。

小林:まずスマホで撮った写真を見ることから始まるんですけど「なんでこれを記録したのかなって」思い返すことが大事なんです。似た写真2枚あって「これは何の違いを記録したんだっけ?」って。

成田:きちんとそこでも考えながらノートを清書しているわけですね。
僕は運営側として講座の現場に居させてもらって小林さんがどれだけ理解してるのかなっていう不安もあるし、もちろん来ていただいたからには満足して卒業してもらいたいっていうのは強く願います。
卒業試験もないし…、1年間真面目に通ったからといって誰もが確実に撮れるようになるっていう保証もないわけじゃないですか。もちろん撮れるようにこちらも精一杯教えますが。

小林:そんな簡単にはいかないですよね。

成田:一般の学校だってそうですよね。卒業したからすぐに役に立つわけじゃない。社会に出てしばらく経験積んで使い物になっていくわけです。

小林:だからさっきの話と同じで、習ったことすべてが頭に入っていても完全に理解しているわけじゃない。しばらく経って撮影現場でその局面になって考えた時に「あの時高崎先生が言ってたことはこれだったのか」って気づいて、写真に反映させていくっていうことなんでしょうね。

成田:全くその通りだと思います。しかし、内容の濃いノートだなあ。

小林:食うに困ったらこのノート高く売ろうかなって。(笑)

成田:ダメですよ!(笑)って言っときながらオークションとかに出てたら僕が買ったりして(笑)

【素人の僕でも学べた商品撮影】

成田:もう後4クールが終れば修了ですけど…どう、あと1年通います?(笑)

小林:(笑)もっと受けたい気持ちですけど写真以外の準備もあって。第4クールはどんなことをやるんでしたっけ?

成田:イメージカットの講座が中心になりますね。太陽光を意識したライティングとか。あとはさっき小林さんが要望を出されたような実際の広告撮影の現場のセッティングの解説だとか。

小林:あ、そういうのが組み込まれているんですね。楽しみです。

成田:第3クール終了時点で大まかな技術的なことは終わりになりますね。第4クールはイメージカットの課題が増えます。

小林:本当に楽しみですよ。

成田:最後に、これからAbox Photo Academyの講座を受講しようと考えている方に何かヒントとか、メッセージがあったら、ひとことお願いします。

小林:そうですね。さっきも言いましたけどこれからは僕みたいな状況で自社の商品の撮影を自分たちでやっていくっていう人が増えていくと思います。
ライティングがちゃんと成立してハイライトがしっかり立っていることで写真はずいぶん変わるんだよ。っていうことを知らないまま人生を終えていく人がほとんどだと思うんですよ。でも、仮にそこまで出来ないにしても,そこに目を向けるっていうことだけでも、その先の人生を豊かに生きられるって…。言い過ぎかもしれませんけど世の中を歩いているだけでもなんだか楽しくなってきちゃうんですよ。How toを教わりに来るだけじゃなく世の中の見え方が変わるっていうことで写真の面白さに改めて向き合えるような場所になるかもしれないし、僕みたいに真っ新な状態から始めてここまで面白さを味わえるような場所になるかもしれないです。
商品写真という特殊な講座なのでハードルはあるかもしれませんけど僕みたいな写真の素人が学べた。っていうのが一つの事例になるでしょうからいろんな方がAboxを利用してくださると良いなって思います。

成田:僕らが元々掲げていた「写真を通じて人生を豊かなものに」ということ、それが全てだと思っているんですがそれをそのまま受け止めて下さったようで嬉しいです。今日はありがとうございました。

小林:ありがとうございます。

小林 直剛(こばやし なおたか)
有限会社cobaco代表。ジュエリーデザイナーの妻とともに、「暮らしのジュエリー」をコンセプトにしたブランドcobacoを運営。オンラインショップを中心に展開しているため、商品写真の技術を基礎から学ばなければとAbox Photo Academyの門を叩く。